赤と黒

(岩波文庫)1958年

   スタンダール 著


(文学) [書誌所在情報] [みなさんの感想]

林田 遼右(文学部)

 美貌で、しかもすらりとした体つきのジュリアン・ソレルは18、19歳である。ラテン語 の新約聖書を全部暗記してしまうほど頭がいいので、町長の家へ家庭教師として雇われる。 彼の心配は召使たちと一緒に食事をさせられるかどうかということであった。

 この気位の高い青年は、やがてパリの大貴族の秘書になる。愛する町長夫人と別れて上 京したジュリアンは、貴族の娘マチルドとねんごろになる。

『赤と黒』 という題名の意味について、作者は何も説していない。

 ジュリアンが将来就くべき職業として、高位聖職者(赤い衣を着る)と、軍人(黒いマ ントをはおる)を考えているというのが一般に知られている説である。もっとも赤は軍人 の栄光を、黒は聖職者の暗黒の力を示すと考える人もいる。

 ルーレット盤が赤と黒に染め分けられているので、ジュリアンの賭に似た人生を象徴し ていると言う人もいる。

 この小説には意外な結末が用意されている。

 ジュリアンが断頭台で死刑にされるのである。

 マチルドは、ギロチンにかけられた恋人の首を大理石のテーブルに据え、その額にキス をする…… 一体、ジュリアンに何が起きたのだろうか。

 読み出したら最後、この結末まで一気に読むことになる。

 この小説の中のジュリアンは、君達大学生と同じ年齢である。文学を読むことは、人生 について何がしかを学ぶことである。ジュリアンは今だったら大学生であろう。自分の人 生と彼の人生をくらべてみよう。

 この『赤と黒』を読了したら、バルザック『ゴリオ爺さん』、 ユゴー『レ・ミゼラブル』、フロベール『ボヴァリー夫人』に挑戦しよう。 19世紀の珠玉のような小説が君を待っている。


culis@ll.chiba-u.ac.jp Jun. 1995