この(1)と(2)の両方を、ほとんどの人が何の疑問もなく受け入れているが、よく考 えればこれは矛盾に満ちている。「客観的」かつ「普遍的」な学問が、性差をこえて普遍 的ではない、というのはおかしなことだ。
さらに、(3)科学そのものは「男性的」な営為とされるが、科学者は男性として魅力あ る存在と考えられない。これは極め付けに不可解なことだ。科学者と芸術家を比べて、科 学者が「男性的」で芸術家は「女性的」な職業であるということに異論を唱える人は少な い。しかし男性科学者と男性芸術家のどちらが恋人の数が多いだろう?科学者は恋愛に縁 遠く、芸術家はその逆であると相場は決まっている。つまり「男性的な」職業の科学者は 男性として魅力が少ないと世間様は判断しているのだ!
一見他愛のない話題のようだが、これらの矛盾は、自然科学の歴史的起源、我々の文化 における自然科学の占める特殊な地位から必然的に生じてくるものなのだ。このことを本 書は、歴史的探求、精神分析、現代科学の分析の3つのアプローチから明らかにする。
理工系のキミはなぜモテないのか(キミ一人は例外かもしれないが)。そしてキミはモ テないと分っていて、なぜ理工系を選んでしまったのか。キミ自身の心の底をのぞいてみ たくはないか?…自然科学が苦手なアナタはなぜ苦手なのか、そしてそれがなぜそれほど 苦痛ではないのか。逆に数学や理科が得意なアナタはどうしてそのために居心地の悪い思 いをしなくてはならなかったのか。アナタの心を支配する文化のからくりを知りたくはな いか?本書は決して易しくはないが、諸君の疑問に対して, 目からウロコが落ちるよう な新しい見方を教えてくれるだろう。