人生は死と復活の繰り返しである。この物語は音楽の才能に恵まれたクリストフの幼少 時代から青壮期までの波乱の半生である。クリストフの中心にあったのは音楽である。ヨ ーロッパの革命を経て社会や家庭の保守的体制からの自由を得るが、期待した人生は開か れず前と同じ苦悩、逆境に圧迫されるが、人間として、芸術家として不屈の気魄を持って 真実を追求し、自分の目指すものを精神的明澄に置き本当の自由を得て新しく生きてゆく。 この小説の一貫した課題はヒュウマニズムであり、いかに人間性が大事であるかをクリス トフの人生をとおしてうったえている。
もう一つ重要と感じたのは、クリストフの真実を追求する不屈の精神がいかにしてでき たかである。クリストフが幼少の頃、家族親戚から疎んじられた行商の叔父がおり、とき どき行商の途中家に寄った。叔父は広い視野の考えを持ちクリストフに自然の偉大さを考 え感じさせた。クリストフはその叔父に畏敬の念を持って接した。クリストフの精神的基 盤はこの頃芽生え体験を通して育ったと感ずる。幼児時代の体験が人間形成に重要である ことも現している。
何時読んでも、何度読んでも人々に勇気と指針を与えてくれる小説であるが、若い諸君 にぜひ学生時代の一読を勧める。