「読書には時期がある。その本について、その人にとって本当にジャストミートする人 生の時があり」、一度読んで「つまらない」と思った、あるいは「これはどんな小説より 優れている。」と抱いた感想を、その本をもう一度読むことによって新しい読み方が発見 できると述べて、自らの体験をもとにドストエフスキーの 『罪と罰』 、 井伏鱒二の 『かきつばた』 、漱石の描く女性像など、その書の文章を実際に引用しながら、独創性に富 んだ書評を展開していきます。
一つ一つの本を解説しながらも、そこには別のテーマがつけられています。例えば丸谷 才一の 『おんなざかり』 をとりあげた項は「小説作法」と言うテーマで語られるといっ た具合です。
文体もとても平易で、それまで多少なりとも難しくて読みにくいと感じていた小説や、 あまり面白くなかったと思った本に再び興味がわいてきます。