生理学の夜明け

真興交易医学出版部 1989

   P. Astrup & J. Severinghaus 著(吉矢生人、森隆比古 訳)


(医学) [書誌所在情報] [みなさんの感想]

福田康一郎(医学部)

 本書は一見すると生理学・医学の入門書の印象を与える。しかし、酸素や炭酸ガスなど 気体の概念を中心に、古代から現代に至るまでの科学一般の変遷を物語り風に記載した「読 物」である。したがって、古代からの哲学、自然観、社会的背景の記述があり、かかわっ た多数の著名な哲学者、物理学者、化学者、生物学者、医学者などの個人的描写も面白く 記載されている。さらに革命など社会体制の変化に伴って科学者が巻き込まれる様子や、 欧米諸国間の確執も興味深く描かれている。これらの永い歴史をもつ欧米の科学の発達を 我国の歴史と対応させることは大変重要である。十分な歴史的背景がないまま現代の最先 端科学技術国となった我国の立場を熟考することは、本学の若い学生にぜひ望まれること であり、この目的のためには本書を一読する必要がある。日本語訳は自然であり、また、 貴重な写真・図も豊富に掲載されており、学生のみならず理系・医薬系の教員にも「読物」 として推薦する次第である。
culis@ll.chiba-u.ac.jp Jun. 1995