毎日読んでいる新聞の前提としている「知識」や「観点」がいい加減な場合が多いこと も本書に指摘されている。また、第III部表現の技術では、プロセスを含めた論文の書き方、 引用の仕方、ゼミでの学生の口答発表の仕方についても、論理的な飛躍のない、かつ聴衆 を飽きさせない方法が検討されている。従来から類書でも、文献の探し方は書かれていた と思うが、文献や資料の探索にも、いろいろな意味で「批判的な眼」が必要なことが再三、力説されているのも本書の特色である。
学問といっても、研究室にこもっていればいい というものではない。フィールドワークあり、アンケートあり、それらをもとにした統計 的・コンピューター処理あり、翻訳あり、史料解読ありということで、学問的しごとのお もしろさを語ってくれる。マドンナのヌード写真集からの写真を引用したレトリックとい う章では、テレビに釘付けになることの危険を指摘して、映画館や美術館に通う「知的刺 戟」が今の学生にいかに必要かが主張されている。