デザイン

(保育社カラーブックス)1965

   小池新二 著


(芸術) [書誌所在情報] [みなさんの感想]

工学部 工業意匠学科

 近代デザインの成立は、産業革命に始まるといわれる。産業革命のおとずれは、人びと の生活環境を大きく変化させた。そこに生じたさまざまな問題点に対して、初期のデザイ ナーたちはどのように解決策を考究していったのだろうか。著書は、「幻の技術者」とし ての近代デザイナーの活躍の姿とその登場過程について、平易に解説している。

 また、我が国においては図案調整家としてデザイナーが出発したことについてもページ が割かれている。この点において、本書は、日本のデザイン史について論述された数少な い著書のひとつになっている。

 ともすると、デザインは色や形を決定する行為であると解釈されがちである。しかし、 この書の随所で筆者が触れているように、今日のデザインが成立するまでの史実を採集し、 その軌跡を正しくトレースしていくことにより、デザインの本来の意味とその役割を理解 することができる。筆者はいっている、「デザイナーは、まず生活技術者でなければなら ぬ」と。考えさせられる奥行きの深いことばである。

 なお、著者の故小池新二先生は、本学工学部工業意匠学科で教鞭を執られていた。図書 館には「小池文庫」として小池先生の所蔵図書(和書・洋書合わせて7000冊)が保管・公 開されている。貴重な図書も多数ある。「生活技術者」としての真のデザイナー像を先生 がどれほど広範な地平のなかで構想されていたかもよくわかる。研究資料としても大いに 活用してもらいたい。


culis@ll.chiba-u.ac.jp Jun. 1995