そして、現代において、衣服が単なる防寒や外傷からの皮膚の保護のためにあるのでは なく、「個人個人の様々な個性や意識や趣味、思想、あるいは価値観の表示となって、一 人の人間の存在全体の表象になって」人々の文化を象徴していることを示し、衣生活の重 要性を私たちにはっきりと意識させてくれます。
著者は、あとがきの中で「モードは社会の高齢化の中で、高齢者や障害者にどのように 関わってきたのだろうか、あるいは今後関わってゆくのだろうか」とも述べています。こ の一節からは、衣服というものがその社会の成熟を反映すること、今後、私たちが関わっ ていく高齢社会をモードを通して検証する必要性があることが読みとれます。
私たち女性だけでなく、今や男性も、確かに自分たちの衣服、モードに非常な関心を持 っています。しかし、高齢者や障害者そして、健康を損ない療養生活を送る人のモード、 衣生活にどれだけ敏感だったでしょうか。そんな思いも高まる一冊です。