ヒポクラテスの午睡
文藝春秋 1994
児玉昌彦 著
(医学)
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[みなさんの感想]
赤尾三太郎(真核微生物研究センター)
1960年代、生物学、医学、農学の研究領域において分子生物学の幕開けがあり、その後、
生命現象を分子の働きとして捉える研究が目覚ましい発展を遂げていった。著者は、この
時代、発がん物質の活性化、生体分子との反応というがん研究の最も基礎的な研究領域に
おいて、分子生物学の発展を見定めつつ研究を進めてきた一人である。ここ数年の間に、
著者は、がんについて、また、がん研究の発展についての啓蒙書を出版してきたが、この
度、"ヒポクラテスの午睡"という表題で医療、ホルモン環境、免疫、アレルギー、老化、
死といった医学上重要な問題について語っている。歴史上の事実や自身の体験を紹介しな
がら、読者の興味を惹きつつ、物事の真実の見方を披瀝している。著者の文才もさること
ながら、挿絵も幻想的で独特の楽しさがある。大学に入るということは、物事の本質を見
通す力を養うことであり、その一助として、新入生諸君に本書を読むことを推薦する次第
である。
culis@ll.chiba-u.ac.jp Jun. 1995