児童文学コレクション

「ジャックと巨人の物語」 1796年
本館では、18ー20世紀初頭に刊行された児童文学のオリジナル版を、13点購入致しました。 1796年の「ジャックと巨人の物語」から1928年の「プー横町にたった家」 など、初版本も多く貴重なコレクションです。 コレクション室に配架されています。

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「ジャックと巨人の物語」 1796年
The pleasant and delightful history of Jack and the Giants(書誌・所在情報)
 1700-1840年頃まで、イギリスの行商人(チャップマン)によって売られていた絵入り本<チャップブック>の原書の一つ。当時<チャップブック>は、低俗なものとして大人達から批判をあびていた。だが、伝承の昔話・童謡などを伝えた意義は大きい。特にこの「ジャックと巨人の物語」のようなイギリス伝来の昔話などは、<チャップブック>によって人々に愛されてきた。<チャップブック>では他に、”復刻世界の絵本館 オズボーン・コレクション”に、「ダイヤモンドとひきがえる」、「聖書のお話」、「ジャックとジルとギルおくさん」(ともに復刻版)を所蔵している。

キングスレイ「水の子」 初版1863年
The water-babies / Charles Kingsley(書誌・所在情報)
 プロテスタントの聖職者でもあるチャールズ・キングスレイ[Biography](1819-1875)によって書かれたこの作品は、煙突掃除のトムが、ある日水に落ちて「水の子」となり、二人の女神の教えでやがて人に尽くし魂の救いを得るまでのストーリー。この2年後に描かれた「不思議の国のアリス」とともに、イギリスのファンタジーの先駆となる、エポックメイキングな作品。

「マザーグース・メロディース」 1870年
Mother Gooses melodies(書誌・所在情報)
 この石版画のオリジナルは、公に出版されることを目的としたものではなく、娘から父へのバースデイプレゼントとして作られたものであった。アメリカ政府高官であったその父親は、鑑定家をもうならせたその作品のすばらしさに動かされ、娘にこれを出版するよう勧め、とうとうオリジナル同様の石版画で出版することに至ったという。 16枚のカラーの石版画を収録。

コルデコット「ヘイ・ディドル・ディドル, ベイビイ・バンティング」 初版 1882年
Hey diddle diddle, and Baby bunting / ill. by Randolph Caldecott(書誌・所在情報)
 ランドルフ・コルデコット[Biography](1846-1886)は、ウォルター・クレイン(1845-1915)、ケイト・グリーナウェイ(1846-1901)とともに19世紀イギリスを代表する挿し絵画家である。”するどい美的感覚と躍動的な精神とユーモアが一体となり、事物や人や動物を的確にとらえた絵が動いていて、絵そのものが物語である”(1)といわれている。アメリカの優れた絵本作家に送られる”コルデコット賞”(モーリス・ゼンダック等受賞)は、このランドルフ・コルデコットの業績に対し制定されたものである。     

コルデコット「蛙が嫁さんさがしにいった」初版 1883年
A frog he would a wooing go / ill.by Randolph Caldecott(書誌・所在情報)
 上記と同じくコルデコット・ピクチャー・ブックの一冊。 コルデコットの作品では他に、”復刻・マザーグースの世界”に、「3人の陽気な狩人」(復刻版)を、”復刻世界の絵本館 オズボーン・コレクション”に、「ジョン・ギルピンの愉快なお話」「森の中の子どもたち」(ともに復刻版)を所蔵している。

マクドナルド「王女とカーディー少年」初版 1883年
The princess and Curdie / Goerge MacDonald; with eleven illustrations by james Allen(書誌・所在情報)
 ジョージ・マクドナルド[Biography](1824-1905)はファンタジーを得意とするヴィクトリア朝時代の作家。代表作は「北風のうしろの国」と「王女とゴブリン」。 この「王女とカーディー少年」は「王女とゴブリン」の続編。炭鉱夫の子カーディーが、怪獣のリーナ達を味方に、都の王と王女を守るために戦い、王女 アイリーンと結婚する。

ジェイコブス「英国のおとぎ話」1890年
English fairy tales / Joseph Jacobs(書誌・所在情報)
 イギリス民俗学会の機関誌「フォークロー」の編集に携わっていたジョセフ・ジェイコブス[Biography](1854-1916)は、1890年イギリス民話の再話集である、この「英国のおとぎ話」を出版した。「ジャックと豆のつる」、「三匹の子豚」、名前あて話の「トム・チット・トット」などのイギリス民話が今日多くの人々に親しまれる形で保存された事については、ジェイコブスの功績がきわめて大きいといわれている。

ペロー「親指太郎」 1890年
Le Petit Poucet / Charles Perrault(書誌・所在情報)
 フランスの詩人シャルル・ペロー[Biography](1628-1703)は、1697年民話を書き改めた「童話集」を出し、不朽の名声を得た。本書は、この「童話集」に載っている散文コントのひとつ。

キプリング「ジャングルブック」初版1894年
The Jungle book (書誌・所在情報), The second jungle book / Rudyard Kipling(書誌・所在情報)
 イギリスの児童文学のなかでも長く愛読されている作品のひとつである。ジャングルで狼たちと一緒に育ったモーグリ少年の物語は子供たちを夢中にさせてきた。ラディヤード・キプリング[Biography](1865-1936)は、インドのボンベイに生まれ、イギリスで教育を受けた。この「ジャングルブック」のようにインドを舞台とした作品も多い。

ポター「パイがふたつあったお話」 1905年
The pie and the patty-pan / Beatrix Potter(書誌・所在情報)
 ビアトリクス・ポター[Biography](1866-1943)は、「ピーター・ラビット」シリーズの著者として広く知られている。「ピーター・ラビットのお話」は、1901年に自費出版され、1902年にウォーン社より出版された。 「パイがふたつあったお話」は、彼女が生涯愛した湖水地方のソーリー村とヒルトップ農場をたたえたものである。

ネズビット「鉄道の子どもたち」初版1906年
The railway children / E. Nesbit(書誌・所在情報)
 イディス・ネスビット[Biography](1858-1924)は、「宝さがしの子供たち」等の”バスタブル家”物語や本書「若草の祈り」で中産階級の家庭の子供たちを描く一方、「砂の妖精」等の作品により近代のファンタジーの遺産を受け継ぎ、20世紀のファンタジーを開花させたと評価されている。

「インゴルスビー伝説集−歓喜と不思議」 初版 1907年
The Ingoldsby legends or Mirth & Marvels / by Thomas Ingoldsby ; ill. by Arthur Rackham(書誌・所在情報)
  中世の伝説と昔話の形式で書かれた詩と散文による恐ろしくも滑稽な物語集。挿絵のアーサー・ラッカム[Biograpphy](1867-1939)は、1900年の「グリム童話集」によって一躍名をなし、その後の数々の作品によって挿絵本黄金期を導いた。 本書は、何度もカラー版が再版されており、特にこの1907年版の口絵には、魔女が箒にまたがって飛んでいる力作が収録されている。サイン入り限定500部のうちの1冊。

グレアム「楽しい川べ」 初版1908年
The wind in the willows / K. Grahame(書誌・所在情報)
 20世紀の古典といわれる作品。ケネス・グレアム[Biography](1859-1932)は、幼い息子のために語り聞かせた、モグラやネズミやヒキガエルの話を発展させ、この「楽しい川べ」を書いた。幼い頃の川辺の生活の記憶を元に、自然とファンタジーの世界を見事に結合させ、ファンタジーの領域を拡大した功績は大きい。この「楽しい川べ」の中のヒキガエルの話は、A.A.ミルンによって「ヒキガエル屋敷のヒキガエル」として劇化され、いっそうポピュラーになった(2)。

ポター「フロプシーの子供たち」 1909年
The tale of the Flopsy Bunnies / Beatrix Potter(書誌・所在情報)
  「ピーターラビットのお話」「ベンジャミンバニーのお話」の続編でピーター達ウサギの兄弟の物語である。

ポター「カルアシ・チミーのお話」 1911年
The tale of Timmy Tiptoes / Beatrix Potter(書誌・所在情報)
 ポターは多数のアメリカ人読者のために、アメリカに生息するシマリスとアメリカクロクマ(ツキノワグマ)を作品に登場させている。

H.クラーク(挿画)「アンデルセン童話集」 初版 1916年
Fairy tales / Hans Christian Andersen ; ill. by Harry Clarke(書誌・所在情報)
 ハリー・クラーク[Biography](1890-1931)は、アイルランドの画家でステンドグラス作家でもあった。ステンドグラス職人の父を持ち、ダブリンのメトロポリタンスクールオブアートに学んだ。作風はビアズリー(1872-1898)のスタイルを踏襲し、「アンデルセン童話集」の他には、ゲーテの「ファウスト」、ポオの「Tales of mystery and imagination」、ペローの「童話集」等に挿絵を描いている。本書「アンデルセン童話集」は、16枚のカラー図版をはじめとし、美しいイラストが豊富である。

マクドナルド「北風のうしろの国」1919年
At the back of the North Wind / Goerge MacDonald; illustrated by Jesssie Willcox Smith(書誌・所在情報)
 ジョージ・マクドナルド(1824-1905)が初めて子どものために書いた小説。妖精物語と社会的・道徳的関心が結びついた児童文学史上画期的な作品である。 この物語は当時の児童向け読み物であった"Good Words for the Young"誌にアーサー・ヒューズの挿絵入りで1868年から連載されたものであった。 本書は、ジェシー・ウィルコックス・スミスの挿絵によるもの。

アーサー・ラッカム「アイリッシュ・フェアリー・テイルズ」 初版 1920年
Irish fairy tales / by James Srephens ; ill. by Arthur Rackham(書誌・所在情報)
  "The story of Tuan Mac Cairill" 以下10話が収録されている。 アーサー・ラッカム(1867-1939)の挿絵はカラーで16葉が保護紙とともに挿入されており、他にいくつか章頭等に線画がある。
ラッカムのサインが入った限定520部の内の1冊。

ミルン「プー横町にたった家」初版1928年
The house at Pooh Corner / A. A. Milne(書誌・所在情報)
 A.A.ミルン[Biography](1882-1956)が息子クリストファー・ロビンをモデルに、子供とぬいぐるみたちが繰り広げる冒険を描いた「くまのプーさん」の続編。挿し絵は、E.H.シェパード(1879-1976)。シェパードの描いたクリストファー・ロビンやプー熊とその仲間たちは、今日まで私たちに決定的なイメージを与え続けている。シェパードの娘メアリー・シェパードも、「メアリー・ポピンズ」のために、父親と同じ仕事をしている(3)。

ポター「こぶたのロビンソンのお話」 1930年
The tale of little pig Robinson / Beatrix Potter(書誌・所在情報)
 イギリスのウォーン社、アメリカのマッケイ社の双方から出版された作品。アメリカ版の方が、イギリス版より白黒の線描画が12点多く入っている。 本書はイギリスのウォーン社版。

ゴドリブ 「子供の本とイラストレーションの歴史」初版 1975年
Early children's books and their illustration / Gerald Gottlieb(書誌・所在情報)
 ニューヨークのThe Pierpont Morgan Libraryは、子供の本において世界でも有数のコレクションを持っている。この図書館のキューレーターであるジェラルド・ゴドリブが、その蔵書の中から選定し解説したのが本書である。3−4世紀の「イソップ物語」から1943年の「星の王子様」まで、200点以上の作品についてカラーを含む美しい図版が用いられていて、子供の本に関する文献としても重要である。

引用文献 
(1)「英米児童文学史」 瀬田貞二[ほか]著 研究社 1971 p.148より
(2)「英米児童文学史」 瀬田貞二[ほか]著 研究社 1971 p.157−159より
(3)「子供の本の歴史 上」J.R.タウンゼント著 岩波書店 1982 p.312より
参考文献
「イギリス児童文学論」 吉田新一著 中教出版 1978(書誌・所在情報)
「英米児童文学史」 瀬田貞二[ほか]著 研究社 1971(書誌・所在情報)
「児童文学の魅力 : 今読む100冊・海外編」 日本児童文学者協会編 1995(書誌・所在情報)
「児童文学はじめの一歩」三宅興子[ほか]著 世界思想社 1984(書誌・所在情報)
「子供の本の歴史 上・下」J.R.タウンゼント著 岩波書店 1982(書誌・所在情報)
「イギリス児童文学散歩」定松正著 中教出版 1985(書誌・所在情報)
「イギリスの絵本の歴史」三宅興子著 岩崎美術社 1995(書誌・所在情報)
「絵本の歴史を作った20人」鳥越信著 創元社 1993(書誌・所在情報)
「センダックの絵本論」モーリス・センダック著 岩波書店 1990(書誌・所在情報)
「オックスフォード世界児童文学百科」ハンフリー・カーペンター、マリ・プリチャード著 原書房 1999(書誌・所在情報)
Dictionnaire des illustrateurs, 1800−1914 / Marcus Osterwalder 1989(書誌・所在情報)
 

図書館報「図書館の本」NO.63 の訂正
「ジャックと豆の木」→「ジャックと巨人の物語」
 Peasant and delightful history of Jack and the Giants→ Pleasant and delightful...
 以上、おわび申し上げます。