ポルトガルコレクション

1995年7月7日けやき会館にて、ポルトガル大使館より、千葉大学へ約150冊の図書・雑誌等が寄贈されました。  その寄贈図書の整理が終了し、閲覧室及び書庫へ配架されましたので、その一部をここに簡単に御紹介します。  今回の寄贈図書は、大航海時代の先駆者ポルトガルを伝える内容であり、貴重な文献の復刻も多く含まれています。  そこで、Boies Penrose著 「大航海時代:旅と発見の二世紀」(Travel and discovery in the Renaissance, 1420-1620) をもとに、貴重な資料を紹介しましょう。


【ポルトガル大使館 寄贈図書一覧】



1.エンリケ航海王子関連文献
2.バーソロミュー・ディアス関連文献
3.ポルトガルと日本
4.ポルトガルによる発見と征服
5.ポルトガル文学
☆参考文献

1.エンリケ航海王子関連文献

「アズララの著した『ギネー発見・征服年代史』は、航海王子と称せられたポルトガ ルのエンリケ親王の偉業の歴史であるが、単に親王個人の事績を称えるための記録であるのみではなく、ヨーロッパの勢力がどうして他の大陸へ拡張して行ったかという征服の歴史の序説である。」(「大航海時代夜話」 井沢 実著)

 1994年は、エンリケ航海王子(1394-1460)の生誕600年にあたり、「ポルトガル大航海時代記念委員会」による、記念行事が行われたそうである。
 エンリケ航海王子は、アヴィス朝創始者ジョアン1世の第3王子であり、北アフリカのセウタ攻略に偉功を立てた後、アフリカ西海岸、インド航路の開拓を志し、ポルトガル南端サグレス岬に住んで航海者を養成し、学術・文化の発展にも貢献した。
 彼こそが、大航海時代の先駆けを飾る人物であり、航海術・地理学をポルトガルに蓄積させ、殆ど半世紀の間、ポルトガルの航海探検の核心であった。と同時に、コロンブスなどの後の発見者たちもポルトガルで学んだように、僅か一世紀の間地球の半ばを越えた海洋探検というものについて人類はエンリケ航海王子に負うところが大きいのである。

Chronique de Guinee (1453)/ Gomes Eanes de Zurara , 1994
(前述の「ギネー発見・征服年代史」。 エンリケ航海王子時代の諸航海に関する最も重要な根本資料である。これはフランス語版。日本語版は「大航海時代叢書」に収録)

Vida e obra do Infante D. Henrique / by Vitorino Nemesio , 1991
(エンリケ王子の生涯と業績)

Sagres / text by Jose Manuel Garcia , 1990
(エンリケ航海王子が生涯を過ごした場所が、ポルトガル南端のこのサグレス岬である)

O Rosto do Infante , 1994
(「王子の顔」エンリケ航海王子生誕600年記念展覧会のカタログ)


2.バーソロミュー・ディアス関連文献


アフリカ最南端・喜望峰の発見は、ポルトガルの発見事業の  輝かしい始まりであった。ディアス(1450-1500)のアフリカ行きの発端は  当時エジプトの南にあると考えられていた、キリスト教を信じる  プレスター・ジョンの国を探すことにあった。インドとプレスター・  ジョンの国に到達することは、エンリケ航海王子の念願でもあった。  喜望峰を発見した時暴風雨にあったため、ディアスは最初この岬を  ”嵐の岬”と命名したが、国王ジョアン2世は、長年追求していた、  願望の成就を見越して”喜望峰”という名に改めたのである。  1988年は、喜望峰到達500周年である。

Bartolomeu Dias , [1988]
(喜望峰到達500年記念出版;南アフリカのダーバンで行われた記念祭の記録)

Bartolomeu Dias : corpo documental - bibliografia , 1988
(喜望峰到達500年記念出版;ディアスに関する15ー16世紀のマニュスクリプトの写真複製および書誌を収録)

Congresso International Bartolomeu Dias e a sua epoca , 1988
(会議録:バーソロミュー・ディアスとその時代)


3.ポルトガルと日本

 種子島に漂着したポルトガル人によって鉄砲が伝来した1543年から450年の 1993年には、これを記念して日本とポルトガルのきずなをさらに深めようと、 さまざまな記念行事が催された。
ポルトガルと日本の交流に関する資料には、以下のものがある。

ポルトガルと日本:南蛮の世紀 , 1993
(鉄砲伝来450年記念出版物)

Portugal and the Japan : The Namban century , 1993
(上記の英語版)

Rodrigues, o interprete : um Jesuita no Japao e na China / Michael Cooper , 1993
「通辞ロドリゲス:南蛮の冒険者と大航海時代の日本・中国」 のポルトガル語版。イエズス会宣教師ロドリゲス(1561-1634)の生涯を描き、16・17世紀の日欧交渉の舞台において、異なる文化圏に属す人々の出会いを描いている。日本語訳当館所蔵)

Europa/Japao : um dialogo civilizacional no seculo XVI / Luis Frois, 1993
(幕末明治のころ、欧米人は日本の生活様式や風俗に驚いているが、このルイス・フロイス(1532-1597)の 「日欧文化比較」は、欧米人と日本人の差異を扱った最も古いものの一つであろう。 日本語訳は「大航海時代叢書」に収録)

O Japao visto pelos Portugueses , 1993
(ポルトガルが見た日本:展覧会カタログ)

No Caminho do Japao , 1993
(日本への道:展覧会カタログ)


4.ポルトガルによる発見と征服

 大航海時代に先鞭をつけたポルトガルは、地球の隅々にまでその旗を進めるべくアジア・アフリカ・アメリカ大陸へと帆をむけていった。そしてそれは、植民事業へと発展して行く。
それらの国々とポルトガルについての資料を紹介する。

Historia da India no tempo em que a governou o visorei dom Luis de Ataide / Antonio Pinto Pereira , reprint. originally pub. 1617, [1987]
(副王ルイス・デ・アタイデの時代のインド史)

Coloquios dos simples e drogas da India / Garcia da Orta 2vols. , reprint. originally pub. 1563, [1987]
(「印度薬用植物・香料論」1563年にゴアで出版されたこの本は、インドで印刷された3番目の本であり、最初の科学書であった。)

Verdadeira informacao sobre a Terra do Preste Joao das Indias / Francisco Alvares 2vols. , reprint. originally pub. 1540, 1989
(「プレステ・ジョアンの国の真実の報告」。エチオピアは、キリスト教徒が求めていたプレスター・ジョンの国と信じられていた。エチオピアに関する重要な文献の一つである。 日本語訳は、「エチオピア王国誌」として「大航海時代叢書」に収録)

Historia da Etiopia / Baltasar Teles , reprint. originally pub. 1660, 1989
(エチオピアの歴史。1624年から10年間、東アフリカとアビジニアを遊歴した、ジェロニモ・ロボの話が収められ、英語国民に良く知られている)

Etiopia Oriental / Joao dos Santos 2vols., reprint. originally pub. 1609 , 1989
(東洋のエチオピア。モザンビーク地方の地誌、住民、植物、動物を描き、この地方の興味深い話を収録している)

Africa : Nas vesperas do mundo moderno , [1992]
(1992年のリスボンの国立民族学博物館による展覧会カタログ)

Brasil : Nas vesperas do mundo moderno , [1992]
(上記と同様1992年のリスボンの国立民族学博物館による展覧会カタログ)

Viagem philosophica : uma redescoberta da Amazonia , 1992
(1792ー1992年の間のアマゾン探検史)

Memoria da Amazonia , 1991
(コインブラ大学人類学博物館による展覧会カタログ)

Albuquerque : le lion des mers d'Asie , 1992
(ゴアをポルトガル帝国の根拠地とし、マラッカを占領して、香料諸島と東アジアへの道をポルトガル人に開いたのは、インド総督アルブケルケであった。)

Comentarios do Grande Alfonso de Albuquerque / Bras de Albuquerque 3vols., reprint. originally pub. 1557, 1989
(アルブケルケの子ブラスによる「アルフォンソ・デ・アルブケルケ回想録」 父アルフォンソの記録を残らず所有していたブラスの伝記は、原資料による価値を持つ)

The peregrination of Fernao Mendes Pinto : soldier of... 1992
(このメンデス・ピントの漫遊記(1614)は、長い間作り話ではないかと疑われていたほど信じ難い冒険の数々に満ちている。21年間、ピントは東アフリカから日本に至る地域で絶えず旅をし、戦い、そして商売をした。その上日本へは、フランシスコ・ザビエルとともに、公式使節として訪れている。 これはその英語版)

Historia da vida do Padre Francisco de Xavier / Joao de Lucena 4 vols. reprint. originally pub. 1600, 1989
(トルサリーノのザビエル伝と並ぶ、ルセナの「神父フランシスコ・デ・ザビエルの生涯」)


5.ポルトガル文学

バスコ・ダ・ガマのインド到達という壮挙を中心に、ポルトガル全史を織り込んだ長編海洋叙事詩,カモンイス(1524-1580)の「ウズ・ルジアタス(ルシタニアの人々)」は、ポルトガル文学史上最大の名声を持っている。ルシタニアとは、ポルトガルの古称である。
”ここに地果て、海が始まる...”の1句は、ポルトガル西端のロカ岬に刻まれている。ポルトガルは、ヨーロッパの西の果てである。その先の海の向こうが未知であった時代を詠んで、今もポルトガル人の精神の依りどころとなっている。

Les Lusiades / Luis de Camoes , 1992
(上記「ウズ・ルジアダス」のフランス語訳。 日本語訳も当館所蔵)

Lirica de Camoes : Sonetos , 1985-
(カモンイス詩集:ソネット)

Camoes e identidade nacional , 1983
(カモンイスとナショナル・アイデンティティ)

Obras : Francisco de Sa de Miranda , 1994 ,facsimile ed. of 1595, 1994

Poesias de Francisco de Sa de Miranda , [1989], facsimile ed. of 1885, [1989]
(詩人サ・デ・ミランダ(1481-1558)は、リスボン大学に学んだ後、スペインを経てイタリアに遊学。イタリア・ルネッサンスをポルトガルへ伝えた)

Fernando Pessoa : Esboco de uma bibliografia / Jose Blanco qb1983
(ポルトガルの現代の詩人 フェルナンド・ペソア(1888-1935)の書誌。ポルトガルにおける近代主義運動のリーダーの一人。カモンイス以来最大の詩人とも呼ばれているが、生存中にその価値を認めるものはほとんどいなかったという。
ペソアについては、ヴィム・ヴェンダースの近作「リスボン物語」にちょっと出てきます)


以上、ほんの一部ですがここにご紹介しました。
なお、今回の寄贈図書は、主題分類によりそれぞれの場所へ配架されています。
上記の書名をクリックして配架場所を探したり、あるいは、一覧のところをクリックして探してください。


☆参考文献

日本語の参考文献を集めてみました。配架場所はそれぞれクリックして探してください。

大航海時代 : 旅と発見の二世紀 / ボイス・ペンローズ著  筑摩書房 1985

大航海時代夜話 / 井沢実著 岩波書店 1977

大航海時代 / 増田義郎著 (ビジュアル版世界の歴史 13) 講談社 1984

南欧史 / 井上幸治編 (世界各国史 5) 山川出版社 1986

大航海時代 / 生田滋 ほか著 (サイエンスアイ) 福武書店 1983

大航海時代叢書(T期,U期)[本館閲覧室2階 209.5/D21] 岩波書店 1965〜


1996.1, 2003.1 revised
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